医師/参議院議員・梅村さとし「医療維新~日本医療の夜明けを目指して~Part1」

医療に関する様々なテーマで行われる討論「医療フォーラム」をドクタスが取材


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梅村さとし 医師/参議院議員
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(株)メディカルアジュール

医師と患者の信頼関係が失われ、医療崩壊という言葉が囁かれるようになった昨今。この問題に正面から取り組む若手議員がいる。
「医療の現場で感じた疑問を解決していきたい」と政治の世界に飛び込んだ、内科医師であり参議院議員でもある梅村さとし氏に医療崩壊阻止についての考えをうかがった。

医師/参議院議員・梅村さとし

プロフィールprofile

梅村 さとし 医師/参議院議員
1975年大阪府堺市生まれ。「お金を儲けるよりも、人の役に立っていると実感できる仕事を」と医師を志し、2001年大阪大学医学部を卒業。病院に勤務するも医療現場の実状、患者の悩みに接し、少しずつ「政治への疑問」を強くする。2007年、第21回参議院選挙大阪選挙区に出馬、128万1502票で当選。32歳で参議院議員となる。

Special Interview Part.1

医療のトラブルを巡って、患者が本当に求めていることは?

メディカルアジュール(以下省略):梅村先生は現場から立法の立場に移られて、そこから医療崩壊を防ごうとされているわけですが、医療にまつわるトラブルについてどうお考えでしょうか?


梅村氏(以下省略):私も医療の現場にいた際、医療のトラブルを間近で目にしました。実際、訴訟を起こされた医師もいます。患者さんとのコミュニケーションのとり方に問題がある場合が多いように思います。

具体的にはどのような事があげられますか?


説明ですね。例えば検査や手術の前後に、患者さんにきちんと説明して納得していただく事が、一番大切な事ではないかと。ですが、この説明と納得という部分が医療業界には完全に浸透しきっていないように思います。

それはビジネスの世界でも同じですね。お客様からのクレーム対応でも、マニュアル通りの対応だけをしていては却って状況を悪化させてしまう事もありますし・・・


ええ。医学部でも“インフォームドコンセント”に関する授業はありますけれど、それは飽くまでも知識としての話ですから。

議員ではなく、医師としての立場から見て、患者さんにはどのように接するべきだと思われますか?


医師/参議院議員・梅村さとし医師は患者さんが誰にも話さないような悩み事などを打ち明けられる立場です。たとえ20代、30代であっても医師であれば、人生の先輩である年長の患者さんから『先生』と敬われるわけです。この信頼を裏切ってはいけないし、かといって驕り高ぶってもいけない。常日頃から敬虔な気持ちで接する事が、一番大切ではないかと思います。

年々高度化していく医療技術に対応するため、医師も技術型にならざるを得なくなってきています。否応なしに冷たい対応をせざるを得ない場合もあるのでしょうか?


確かに医療は専門分化が進んでいます。患者さんに理解出来ない高度医療が取り入れられ、医師と患者さんの価値観や日常感覚に隔たりができていると思うんですよね。だからこそ、医師は内面も磨かなければならないと思います。患者さんは好んで医療訴訟をしているわけでも、慰謝料が欲しいわけでもなく、納得のいく説明を求めているだけだと思います。

客観性と納得性の相違点


先生のおっしゃった納得と言う言葉はひとつのキーワードですね。


そうですね。これは医療だけでなく、普段の生活でも『納得性』があるかないかで、事態は180度変わると思います。例えば、タクシー代に1万円を平気で使える人でも、落とした100円玉は拾いますよね?これってタクシーの対価としての1万円には納得出来ても、落としたという理由で100円を失う事には納得出来ないという心理です。

医療の現場で『納得性』は重視されているのでしょうか?


医師/参議院議員・梅村さとし医療を取り巻く制度面からは、客観性が重要視されていますね。一例を挙げれば厚生労働省が強引に導入しようとしている『医療事故調査制度』です。この制度では『標準的な医療から著しく逸脱した医療により死亡した場合は、国の機関がその事案を警察に通報する』ということになっています。一見、客観性を重視していて良いように聞こえますが、実はこれでは医療者側も患者さん側も双方救われないのです。なぜなら医師が罰せられても患者さん側は何も得るものがないからです。医療の世界では『客観性』では争いを減らすことはできず、その場面で最も必要とされるのは『納得性』なのです。

例えば手術をする時、患者さんには承諾が求められます。一回の手術を受けるのにも数枚の承諾書にサインが必要です。仮に手術後に患者さんが亡くなられたりした時に、『我々は教科書にかかれた、標準的手術を行いました。手術の結果、死亡される確率がある事に承諾をいただいていました。死亡されたのは確率の問題でした』…という説明だけだったら、遺族の方は当然、納得されません。『客観性』より『納得性』が上位にくることを示す一つの例です。


数枚の手術前承諾書よりも、
たったひとつの納得性が医療訴訟を減らす


承諾書を楯にとるような対応が医療訴訟の増加につながっている、ということでしょうか?


そうですね。客観性を高め、承諾書にサインを求める事で医療訴訟は防げる、と考えられているようですが、結果は…。先に述べた手術後の説明を変えてみるとですね。『手術中の問題と死因について説明させて頂きます。術前検査の時に予測していた以上に癌が血管をたくさん巻き込んでいました。我々は最善を尽くそうと思い、切除を試みましたが、出血が酷くなり、比較的ご高齢であったことも重なって残念な結果になりました。その場面ではこの判断がベストと考え全力を尽くしました。我々も本当につらい思いです』…と。このように説明すれば、ご遺族は医療訴訟を起こされない可能性が高いと思います。その理由は納得性なんですよ。

ご遺族が納得されれば、訴訟には至らないというお考えですね。


簡単に納得と言っていますが、実際、難しいところなんですよね。患者さんに納得していただくためには、その下地作りが大切だと思います。それこそ、普段からの態度や接し方、誠実さ、などでしょうか。医師と患者さんの立場や価値観の隔たりも問題ですよね。だから医師も月に一冊、二冊くらいは世間で話題の本を読むなどして、世の中の人々の考え方を知る努力も必要なのではないでしょうか。

医療以外の所にも目を向ける、と?


医師/参議院議員・梅村さとし医師の間や、あるいはいわゆる“象牙の塔”(大学医局)では医療が総ての中心として考えられがちです。しかし一般社会の日常生活からみたら、医療というのはOne of themなんですね。大切だし必要だけれど、絶対じゃないって。その事を忘れて驕りなどが生まれてはいけませんし、日頃から医療の立場をもっと積極的に、医療現場以外の人たちにも知っていただく。それによって今の医師と患者さんの関係を改善し、何かあった時でも逃げず、隠れず、ごまかさずにきちんと説明し、納得をしていただく事で、医療訴訟も回避出来ると思います。

その方が何より、双方とって建設的な結果が得られますものね。




・・・次回は「医師に求められるもの」についてレポート




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Vol.1「法律が医療を裁く時~医療過誤最前線~」
弁護士/松本徹

弁護士・松本徹医療過誤や医療事故を発端に医師と患者の信頼関係が失われつつある。医療崩壊という言葉が囁かれるいま、医療の信頼を回復するための解決策を法律の視点でアドバイス。

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